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2019年10月14日(月)
アナライズ

観光・スポーツランド振興 髙橋洋さん(ソラシドエア社長)

2016/03/04
髙橋洋さん(ソラシドエア社長)「観光・スポーツランド振興」

魅力発信に総力結集を


たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

 今年で50回を迎えた京都市と同市観光協会主催のバスツアー企画「京の冬の旅」に初めて参加した。1〜3月の閑散期対策として1967(昭和42)年に始まり、今や京都観光の定番となっている。1万円以下の手軽な価格で非公開の文化財や京料理を観光バスで気楽に楽しめるツアーだった。

 これまでツアー企画に対しては、スケジュールや食事などに“お仕着せ感”があり敬遠してきた。しかし、今回参加したツアーは、これからは毎年でも参加したい気持ちになった。
 
 ツアーの訪問先は建仁寺、妙心寺、相国寺という禅寺。清水寺や金閣寺といった大看板は一つもない。しかし、京都狩野派の山楽・山雪の金壁障壁画や岸派の水墨画など魅力的な作品を次々と鑑賞できて、構成に飽きさせない工夫があった。

 食事も「さすが京都」という印象。昼食を取ったのは格付け本「ミシュラン」の星を獲得している京料理店。93歳の主人が料理や食材の京野菜について丁寧に説明し、見送りまでしっかりと対応してくれたことには感動した。

 また、ツアー全体は観光バスのガイドが案内を行い、それぞれの施設ではローカルのボランティアがガイドを行った。感心したのは、どこでもバスガイドとローカルガイドの役割分担がはっきりしていたこと。さらに、ローカルガイドが自己流のガイド法ではなく、ガイドについて学んだ人たちが行っているようで完成度が非常に高かった。京料理店の主人やガイドたちのもてなしが全力投球だったことも好感を持てた。

 京都には学生時代から数え切れないほど出掛けているが、それでも知らなかった魅力をたっぷりと味わうことができた。さらに掘り出し物感もあり、「ちょっといいもの」の合わせ技でも観光は十分に人を引き付けることも分かった。

 今回のツアーに参加して気付いたことは、観光には全体を構成するマネジメント力と、参加する観光施設、料理店、地元ガイドの意思統一が大事ということ。京都は有形、無形の文化に恵まれていることを差し引いても、多くの人たちが自信を持って自分たちの文化や価値観を伝えようという目的意識が共有されている。そして同じ価値観を持った人たちが集まり、役割分担して動いていた。

 本県はどうだろうか。観光では宮崎県にも京都に負けない歴史がある。特に「スポーツランド宮崎」は本県の大看板。ソラシドエアは2月1日から県と協力して地域振興機体活用プロジェクト『空恋』で「日本のひなた 宮崎号」の運航を始めた。「スポーツの聖地宮崎」のPRに全力で取り組むつもりだ。しかし、本気で取り組む上で、解決しなければいけない課題があるので事例と合わせて紹介したい。

 2年前、県外の有名高校野球部から150人規模のキャンプ地探しの依頼があった。県内各地に多数の野球場があるので、まずはと思って県観光コンベンション協会に相談した。ところが、「野球場やサッカー場は個別施設の管理は市町村なので、そちらには連絡してほしい」ということで、各市町村の担当部署に問い合わせることになり、あちこち連絡した挙げ句、最終的には音を上げてしまった。
 また、還暦を過ぎた愛好者でつくる首都圏のサッカーチームからもキャンプ地探しの相談を受けた。条件は、立派なグラウンドと手近なホテル、休日のゴルフとおいしい食事、そして同じようなチームが複数滞在して交流試合ができること。この相談についても、なかなかキーになる情報を持った担当者までたどり着けないまま時間が過ぎ、サッカーチームは熊本県でキャンプを行うことになった。

 この二つの事例から思うのは、宮崎県が新たな顧客を獲得できるチャンスは大いにあるということだ。「スポーツランド宮崎」をPRするなら、顧客ニーズに向き合い具体的な対案を用意できる「問題解決型」の相談窓口や宮崎の観光、スポーツに関する行政機関や団体、民間企業などとつながった横断的なオフィスが必要。そうすれば京都のバスツアーの事例のように新たな顧客の発掘につなげることができる。

 特に経験豊富で知的好奇心が旺盛なリタイア人材や学生などの活用に積極的に取り組まなければならない。また、行政の広域的な連携や、民間企業の個社の枠組みを超えた共同商品の企画などは大いに推進してほしい。

 宮崎全体の観光、スポーツ振興という大きな目標を追求するという大所高所から、統一目標と価値観の共有が重要ではないだろうか。そうした中で全体を引っ張っていくトップの方々のリーダーシップと官民のチームワークが極めて重要になる。

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