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アナライズ

マイナス金利、生活への影響 二宮清子さん(ファイナンシャルプランナー)

2016/02/19
ファイナンシャルプランナー 二宮清子さん「マイナス金利、生活への影響」

「貯蓄から投資へ」の流れは進むか


にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。

にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。

 日銀は16日、金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナス金利を適用する新たな金融政策を始めた。マイナス金利の導入で金融市場にはさまざまな影響が出始めており、銀行の間では普通預金や定期預金、住宅ローンの金利引き下げの動きなどが出ている。一方で、海外経済の影響などを受け、円相場と株価が乱高下するなど、日銀の思惑とは逆の現象も起こっている。

 安倍政権の金融政策・アベノミクスでは、日銀が「買いオペ」(民間銀行の持つ国債を買い入れる政策)によって民間銀行にお金を供給した。民間銀行の保有するお金の量が増えれば、企業への融資も増え、その融資を元に企業が事業を拡大し、利益を出しやすい環境になる-という狙いだった。ところが、景気先行きへの不安からか、民間の需要は特に地方で盛り上がらない。民間銀行はそのお金をそのまま日銀の当座預金に預けてしまった。当座預金に預ければ何もしなくても0.1パーセントの金利が付く。リスクを取って融資を拡大させるより、日銀に預けていた方が安心だからだろう。

 ただ、この当座預金の残高が増えるだけでは、お金は生きた使い方がされず、金融緩和は意味をなさない。黒田東彦日銀総裁がとった方策が、当座預金にお金を預けると「預け損」となるように、ペナルティーとしてマイナス0.1パーセントの金利を課すというマイナス金利政策だ。当座預金の全てではなく、2月以降に預けた一部が対象だが…。

 マイナス金利政策の目的は大きく二つ。民間銀行の保有するお金を民間企業への融資に回して業績向上につなげ、ひいては働く人の所得を増やし、消費も増やすこと。

 二つ目は円安への誘導だ。米国の利上げや中国経済への不安、原油安などの影響で円が買われて円高に振れそうだったのでその歯止め策としての側面もあった。日本の経済や株式市場にとっては円安の方が恩恵が大きく、アベノミクスを成功させるためにも1ドル120円程度の円安水準が理想とされる。ただ、世界経済への不安は思った以上で、中国景気の減速懸念が強まる中、欧州での金融機関の財務悪化への懸念が広がった。安全資産として円が買われ、いまのところ日銀の思惑通りにはいっていない。

 では、マイナス金利政策は一般消費者の生活にどんな影響を及ぼすのか。

 一つ目が預金金利の低下。既にメガバンクやゆうちょ銀行が、定期預金や大口預金の金利を引き下げる決定をしている。

 二つ目が住宅ローン金利の低下。例えば、長期固定金利型の「フラット35」の2月の金利は1.48パーセントだが、3月はもう少し下がることが予想される。来年4月の消費税率引き上げを前に住宅需要が高まっており、これから住宅ローンを借り入れる人にとってはメリットが大きい。

 三つ目は保険商品の金利低下。既に契約している保険に影響はないが、これから発売される終身保険や養老保険など積立型商品は返戻率(編注)が下がる可能性がある。円建ての商品だとメリットが少ないと感じ、ドル建てや豪ドル建ての保険商品に関する問い合わせも2月に入ってから増えている。

 このように、借り入れに関しては恩恵はあるが、預けるお金に関してはメリットが減る。今後はどうしても「貯蓄から投資へ」の流れがさらに進むのではないだろうか。今年に入ってからの円相場と株価の乱高下は例年にない動きで、先行き不安に駆られるのも仕方がないが、必要以上に過敏になることはないと思う。お金に翻弄(ほんろう)されるのではなく、舵(かじ)をとれる資産運用をするために社会の動きを勉強し、長期的な視点とリスク管理で、生きたお金の使い方をしてほしい。


 【編注】返戻率とは、契約者が支払う保険料の総額に対して受け取ることのできる満期保険金プラス祝い金の割合のこと。

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