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アナライズ

オープンデータを生かす 辻利則さん(宮崎公立大学人文学部教授)

2016/01/08
辻利則さん(宮崎公立大学人文学部教授)「オープンデータを生かす」

思い込みを覆すきっかけに


つじ・としのり 1993年、宮崎公立大学助手。講師、准教授を経て2008年から同大学教授。1999年宮崎大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。専門は情報科学と災害情報。えびの市出身。

つじ・としのり 1993年、宮崎公立大学助手。講師、准教授を経て2008年から同大学教授。1999年宮崎大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。専門は情報科学と災害情報。えびの市出身。

 国や地方自治体などが持っているさまざまな公共データを公開し、民間でも利活用しようとする「オープンデータ」。注目され始めたのは2014年から。観光や防災など使い方次第で地方創生の課題を見つけ、よいアイデアを生むきっかけになることが期待されている。

 データには主に二つの力がある。一つは説得力。例えば2年前、私はアジアヒ素ネットワーク(宮崎市)の依頼でバングラデシュを訪れ、同国内の井戸の分布図を作成した。

 調査した数千の井戸をヒ素の有無と未調査の三つに分けて、地図上に反映。どの地区に井戸を造るべきか一目瞭然となり、行政に適切なアドバイスができた。

 深く掘った安全な井戸は公費で造られる。地元では「有力政治家のいる地区にヒ素の出ない井戸が多い」といわれていた。調査は結果的にうわさを裏付けることにもなった。

 もう一つは思い込みを解く鍵としての力。例えば少子高齢化で地域のつながりが希薄になり、一般的に今の若者は自治会活動に消極的だと思われている。

 2年前、宮崎市内のある地区(3000世帯)で自治会活動への意識をアンケートした。参加頻度は「積極的に参加」が2割、「ほとんど参加」が5割、「参加したことがない」が3割だった。

 「ほとんど参加」を年代別に見ると、20代が最少。確かに「今の若者は…」といえる。しかし、年代に関係なく「参加したことがない」人は3割もいて、若者だけが消極的とはいえないことが分かった。

 また同市のデータなどによると、20代から30代の人口は約9万人。多くが卸売り小売業などで働くサラリーマン。自営業は少ない。2割程度の人は5年以内に転入した人で、そのほとんどが賃貸住宅に暮らす。

 そう考えると輪番で役員を務めるような現在の自治会運営では、移動の多い若者の状況を理解し、参加を促すのは難しい。このようにデータは使い方次第で取り組むべき課題を明確にしてくれる。

 各地で地方創生の取り組みが行われている。その中には思い込みを前提に計画されたものもあるだろう。私はデータを基にもっと議論して計画を作るべきだと思っている。その方がより議論が深まり、個々の熟考する力も付き、よりよいアイデアを生み出せると思う。

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