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2019年10月17日(木)
アナライズ

地域振興 髙橋洋さん(ソラシドエア社長)

2015/12/18
髙橋洋さん(ソラシドエア社長)「地域振興」

九州から日本をひらく


たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

 11月に大分県で開催された、日本IBM主催の九州フォーラムに参加した。今年で34回目となる歴史ある会議で、参加者は九州各地の経営者や行政関係者、学者からNPO主催者など多岐にわたる。30歳代から60歳代まで幅広い層の50人が集まり、2日間にわたり個別の利害関係を超え、地方創生や経営の在り方、教育論など徹底的に議論する会議である。

 基調講演は四つのうち、阿蘇内牧温泉の老舗旅館「蘇山郷」(熊本県阿蘇市)社長・永田祐介さん、「九州パンケーキ」(一平グループ、宮崎市)代表・村岡浩司さんが特に面白かった。

 永田さんは3年前の九州北部豪雨で経営危機に直面。この時豪華な懐石料理付きの1泊2食で客を引き付けるという定番と決別した。夕飯を自前でやると実は相当コストが掛かるので、もうからない。そこで阿蘇地区にある日本料理店やフレンチ、イタリアン、居酒屋など約30店に声を掛けてネットワークをつくった。宿泊者に地元料理店を紹介する仕組みを立ち上げたのだ。

 これにより、1泊中心だった宿泊客が2、3泊するようになり、旅客の幅も広がり、何よりも地域全体も潤い、魅力も向上したという。素晴らしい発想転換であり、これぞ地域の力だと思う。地域への入り込み客が広がることによって、生産者のパワーも向上する。

 九州パンケーキの村岡さんはこのフォーラムではちょっとしたスターだ。村岡さんは「オール九州の雑穀による純国産のパンケーキ」という看板を背負って、宮崎から台湾に進出。海外でブームを起こし、これから東京や福岡に“逆上陸”する。これぞ21世紀のマーケティングである。福岡、熊本両県の古代米、佐賀県の胚芽押し麦、長崎県のもちきび、大分県の小麦、宮崎県の発芽玄米、鹿児島県のうるち米など、九州各地の素材生産者まで元気づける実に面白い取り組みで、ぜひ全国ブランドに育ってほしい。

 基調講演を受け、観光、起業、教育・人材育成、地方分権の4分科会に分かれて意見交換を行った。議論の内容や個々の意見は非公表の約束なので、ここでは触れないが、九州財界をリードする人たちが、若手と侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を交わし、参加者が1人でひそかに抱えて悩んでいた問題などを語り合った。参加者はここで勇気をもらい日常の場に戻ったりする。参加者にとっては年1回の同志たちとの語らいの場であり、地域全体の共通課題の解決策を探る大事な機会だと思う。

 こうしたフォーラムでは多様な主体が集まり、活発に議論することで新しいダイナミズムが生まれる。あらためてこのような場を全国に提供し続けている日本IBMはすごい会社だと思う。世界的な企業がローカルのためにこれだけ頑張っているのに、我々ローカルも負けていてはならない。「日本が世界をリードしていくのは九州から」という思いを具体化する必要がある。

 九州は有史来、アジアとの交流の窓口だった。現在でも地理的優位性は高く、九州の人間はコミュニケーション力やパートナーシップ力が高い。また環境や気候条件にも恵まれており、世界中の人間が集って、21世紀の進路を考えるには最適な場所だ。経団連のフォーラムも長野県軽井沢や伊豆半島などで開かれるように、本県も青島、日南海岸といった財産を活用し、「九州から国をひらく」先兵役を担ってはいかがだろうか。宮崎と九州・沖縄の将来を考える上で、大きな夢と希望を与えられた今回のフォーラムだった。

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