みやビズ

2019年7月21日(日)
アナライズ

新3本の矢 二宮清子さん(ファイナンシャルプランナー)

2015/12/04
ファイナンシャルプランナー 二宮清子さん「経済好循環へ個人も努力を」

経済好循環へ個人も努力を


にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。

にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。


 「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の“3本の矢”を柱とする安倍政権の経済政策・アベノミクスがスタートして、もうすぐ丸3年となる。内閣府の資料では、これまでの3本の矢の取り組みでデフレからの脱却が期待され、日本経済は「着実な回復基調にある」としている。一方で、景気回復の実感は地方において乏しく、実体経済は追いついていないと感じる方も多いのではないか。

 大胆な金融緩和で、日銀は「買いオペ」(民間銀行の持つ国債を買い入れる政策)によって民間銀行にマネーを供給した。このマネーで地域の企業への貸出が拡大し、世の中にたくさんのお金が出回ることで景気回復につなげようとする狙いだった。しかし、デフレの影響などもあって設備投資のために資金を借りようとする企業は増えず、つまり世の中にはお金を出回らせることができなかった。

 もし、世の中にお金が出回り、デフレからインフレへ振れ始めれば、商品の値段が上がる前に買っておこうと消費意欲がわく。そうなると経済がまわり、さらにインフレへとなるはずだったのに…。思惑通りにはいかなかった。ものが売れなければ給料も増えないので、実体経済に変化は表れにくい。

 ただ、これでアベノミクスは失敗だったとするのは早計。大胆な金融緩和は大きなサプライズとして株式市場や為替市場に捉えられ、これまで低迷していた株価やドルの価値(円対ドル)を押し上げ、円安・株高を引き起こした。シェールガスの登場で原油価格も下がったので、企業は儲けやすい環境になった。結果的に過去最高益を更新する企業が増え、少しずつ関連企業の賃金も上がり始めた。財務省や厚生労働省のデータでも、企業業績の改善や有効求人倍率、賃上げ率などは顕著な改善が見て取れる。

 そして、安倍首相は今年9月、アベノミクス第2ステージとして、(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障-といった「新たな3本の矢」(目標)を発表した。(1)は具体的に、2014年度に490兆円だった名目GDP(国内総生産)を2割増やして20年の600兆円とするもの。そのため、女性や高齢者、障がい者らの雇用拡大や地方創生を本格化して「生産性革命を大胆に進める」としたほか、個人消費をテコ入れするため、全国平均で798円の最低賃金を毎年3%程度増やし、1000円を目指すなどの目標も明記した。

 一つ提言したい。国の政策と歩を合わせて、個人も成長しようということだ。例えば、家計の資産構成(15年9月、日本銀行調査統計局まとめ)をみると、日本の場合、債券や投資信託、株式が占める割合は合計約18パーセントで、米国約52パーセント、欧州(ユーロエリア)約31パーセントと比べて格段に低い。日本で高いのは現金・預金の52パーセント。もっと資産を運用する割合を増やせばお金が生かされてきて、経済は活性化する。また、働き方でも、最低賃金1000円に見合う能力を身に付けようと個人が努力すれば、働く場全体の底上げにもなるのではないだろうか。

 第1ステージでもそうだが、急激な変革はできなくても、アベノミクスによって日本経済は着実に回復してきていると考える。個人が政策を理解して一緒に成長しようとすれば、回復への足取りはもっと力強くなるはずだ。

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