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2020年2月22日(土)
アナライズ

少子化とニモカ 菊池克賴さん(宮交ホールディングス社長)

2015/09/11
宮交ホールディングス社長 菊池克賴さん「宮崎の若者とともに」

宮崎の若者とともに


きくち・かつより 1974(昭49)年、全日本空輸入社。上席執行役員東京支店長、スカイビルサービス社長などを経て2012年6月から現職。宮崎市観光協会長も務める。西都市出身。

きくち・かつより 1974(昭49)年、全日本空輸入社。上席執行役員東京支店長、スカイビルサービス社長などを経て2012年6月から現職。宮崎市観光協会長も務める。西都市出身。

 この秋、宮崎交通はICカード型乗車券「ニモカ」を導入する。ニモカは全国の交通機関で相互利用ができ、電子マネーとしても利用できる。さらに、このカードは高い汎用(はんよう)性を持っている。例えば商業施設での利用や、学生証などの身分証明書の機能を兼ね備えたり、各種行政手続きの手数料の支払いに使われたりと日々進化していて、もはや社会インフラの一つといえる。

 このようなICカード型乗車券は全国に10種類あり、累計1億枚超が発行されている。2015年4月現在、利用できないのは青森、秋田、福井、鳥取、島根、徳島の6県。さらに独自のICカード型乗車券があっても相互利用できないのが愛媛、高知、沖縄、宮崎の4県で、計10県となっている。

 12年に宮交ホールディングスの社長に就任した私は、宮崎の社会インフラ整備の遅れを感じ、小さな一歩だが、全国で相互利用が可能なICカードの導入を考えはじめた。宮交として今回の導入でお客さまの利便性を向上させ、県外との交流人口拡大によって地域経済の活性化に多少なりとも貢献できるのではないかと考えている。

 実はこれに加え、宮崎で育つ若い人たちへの強い思いがある。それは、この社会に欠かせないツールの一つに早くから触れ、使うことで、気後れすることなく今後出会うさまざまな物事や事象に柔軟に対応し、可能性を見いだす発想の癖や習慣を身につけ、先を見通す力を養ってほしいということだ。汎用性の高いニモカを利用できる環境を整備することで、本県の若い人たちに地域が抱える諸課題に対処する意欲や力を育ててほしいと願っている。

 他県にあるものが宮崎になければ、若い人は県外へ出て行く。国の調べで、今春の高校生の県内就職率は54パーセントと全国最下位。人口減少が本県の将来に暗い影を落とす中、多くの若者が県外に流出している。UIJターンを受け入れるにしても、都市部と変わらぬ仕事ができる魅力の一つとしてニモカのような社会インフラの整備は必要だ。

 東京・伊豆諸島の青ケ島村には、教育的理由から信号機が小中学校の近くに一つだけある。本来は信号機などいらない交通量なのだが、中学校を卒業して島外へ出て行く子どもたちのために設置されているという。子どもたちが島から巣立ったとき、初めて見る信号機に戸惑わないようにという親心である。

 大げさかもしれないが、社会インフラの整備や導入には故郷の若者に寄せる思いや期待が少なからず入っているのではないか。そういう視点からインフラを整備していくことも地域社会の活力にとって重要であり、われわれ大人の義務だと思う。

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