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2020年2月24日(月)
アナライズ

中東カタールの戦略 米良充典さん(県商工会議所連合会会頭) 

2015/02/06
県商工会議所連合会会頭 米良充典さん

ポスト石油に備えた取り組み


県商工会議所連合会会頭 米良充典さん
 昨年末、中東カタールの首都ドーハに初めて行った。経済産業省主催の商談会が今月7日から現地であり、事前準備として同国の商工会議所や日本大使館などを訪ねたのだが、いろんな意味で大きな刺激を受けた。

 カタールは面積が秋田県ほどの小国。首長制で、人口約200万人のうちカタール人は四分の一。残りは労働力としての外国人だ。産油国であり、液化天然ガス(LNG)の埋蔵量が世界第3位という資源大国。当然、国は豊かで医療費や教育費、光熱費などはタダ。所得税もかからない。それでも地下資源が枯渇する将来に備え、潤沢なオイルマネーで積極的にインフラを整備。大規模なスポーツ大会や会議などが開かれる、国際観光都市への転換を目指している。

 例えば2004年に完成したトップアスリート育成機関「アスパイア・アカデミー」は、7面の屋外サッカー場や陸上競技場、五輪規格の水泳プール、格闘競技場などのそろった超近代的スポーツ施設。また、昨夏にはサッカーのジーコ氏など20人の世界的な元トップアスリートを招待。スポーツビジネスの戦略会議を2泊3日の日程で開いたが、その予算は3兆円だったというから驚く。

 19年には世界陸上選手権、22年はサッカーのワールドカップ(W杯)が当地で開かれる。W杯のスタジアムは12カ所必要で、既存は三つ。残る九つを新設するが、全て空調完備の屋根付きスタジアムになる。そのうち一つは大型船の上に建てる計画だ。

 金に糸目をつけない国だけに、ビジネスチャンスも多い。アスパイアの視察では照明の暗さが気になり、器具交換を案内役のカタール五輪委員会の責任者に提案した。価格は他国製より高いが、宮崎で生産しているメード・イン・ジャパンの製品を提供できると説明したら、とても前向きな反応を見せた。日本製品への信頼が高いのだ。帰国後すぐに担当者をカタールへ行かせた。

 カタールは1971(昭和46)年に英国から独立した若い国。彼らにとって日本はLNGや石油の最大級の輸出先で、現在の発展を助けてくれたという思いが強い。

 気温は冬が35度、夏は50度以上に達することもある。国土のほとんどが砂漠だ。宗教的な理由から一夫多妻は認められているが、親族以外の男女の接触はできない。日本とは気候も文化も大きく異なる一方、東日本大震災の際には1億ドルの資金支援を表明するなど、義理人情に厚い国でもある。

 イスラム法が飲酒を禁じているため、コーヒーの人気が高く、菓子や果物といった甘い物の需要も多い。工業製品だけでなく、高品質な農産物の輸出先としても有望。個人的には回転すし店などヒットすると思った。

 とにかく投資スケールが大きい。私は今69歳だが、もし55歳だったら全財産をカタールへつぎ込んでもいいと思えるほど魅力的だった。日本企業が東南アジア以外の進出先として研究する価値は十分ある。

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