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2019年10月14日(月)
アナライズ

地銀再編 髙橋洋さん(ソラシドエア社長)

2014/12/12
ソラシドエア社長 高橋洋さん 「存在意義の再確認を」

存在意義の再確認を


たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

 人口減少が進み、地方銀行が経営効率化を図る中で、再編が起こるのは当然のことだろう。マーケット規模の縮小などを考えると、経営が防衛的にならざるを得ない部分もある。再編は地銀の役割があらためて注目されている契機になっている。地銀の存在意義についてあらためて整理したい。

 再編には大きく二つの考え方がある。収益を増やすために営業エリアを拡大するアクティブな効果を狙う手法。そしてコスト削減効果を図るもの。後者は直接的に最終利益の確保につながりやすい。収益は1+1で2になり、調達コストや固定費などの共通コストについては、1+1を2以下にすることができるため、統合や合併の効果を得やすい。経営者なら当然考えることだ。

 ただ、経営効率化にハンドルを切りすぎると顧客が離れる。例えば、都市銀の統合後は、多くの支店が統廃合され、不便を感じた顧客がライバル行に流出した。あくまでも金融業はサービス業であることを忘れてはいけない事例だ。

 これが地銀となると、地域との関わりが最も重要となる。地銀は明治時代の設立以来、地域経済の循環役を担う。支店の預金はできる限り同じ支店内の企業への貸し出しや投資に戻すことで地域の発展に貢献してきた。だから、地銀は地域のプランニングにも重大な役割を担っている。だから再編による県外進出などで、預金が地域外や県外へ一方的に流出させてはいけない。地銀は自身の役割を十分認識しなければならない。

 また、地銀は地域金融のプロフェッショナルでなければいけない。金融のプロフェッショナルとは、地域でビジネスをやる上で必要な情報をすべて持っているということ。県外に拠点を置く銀行の支店と情報量が同だったら、存在価値は落ちる。地銀は情報力により磨きを掛けてほしい。金融業は情報業でもある。

 ビジネスパートナーである地銀がより強固な顧客基盤を持っていれば、少々規模が小さくても地元企業にとってはそれが大事だ。逆に規模が拡大して営業利益が広がっても、地元と県外の中二階に行ってしまい地元がおろそかになるようなら、地元企業としてはありがたくないことだ。

 最後に地銀が生き残るかどうか、大事な分かれ目になるのは人材育成。宮崎なら宮崎、都城なら都城で、自分の地域を20年、30年先も引っ張っていくという志のある銀行員がいなければいけない。地域のために主体的に動ける人間が必要。これからの地域の問題は一企業や一個人では解決できないものになる。そうしたときに、地域のグランドデザインを描くような人材が絶対に必要になる。

 地銀が地元から絶対に逃げられないことは、東日本大震災の被災地の地銀が証明している。地域をリードする重要なコーディネーターとしての地銀に期待したい。

【写真説明】たかはし・ひろし 東京大法学部卒。1977年、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。プロジェクトファイナンス部長、人事部長、取締役常務執行役員を経て2011年から現職。岐阜県出身

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