みやビズ

2019年10月14日(月)
  • ホーム
  • アナライズ
  • 6次産業化 外山隆さん(日本政策金融公庫宮崎支店農林水産事業統轄)
アナライズ

6次産業化 外山隆さん(日本政策金融公庫宮崎支店農林水産事業統轄)

2014/12/05
日本政策金融公庫宮崎支店農林水産事業統轄 外山隆さん「6次産業化」

販売戦略の明確化が重要


とやま・たかし 宮崎市佐土原町出身。早稲田大卒。2010年8月から現職。

とやま・たかし 宮崎市佐土原町出身。早稲田大卒。2010年8月から現職。

 食に関する興味の深まりから、6次産業化が注目されるようになって久しい。本県では昨年、フードビジネス振興構想をまとめて担当課を設置。2020年度までに食品関連産業の生産額1兆5000億円という目標を掲げ、熱心に取り組んでいる。6次化の最終的な目標は生産者の所得の向上。それに伴う地域活性化は副次的なものだと思っている。

 一口に6次化といっても、二つのやり方がある。一つは生産者が生産から加工、販売までをすべて担う「単独型」。もう一つは加工や販売など2次、3次部門を製造業者や小売と組んでやる「連携型」だ。似た概念に「農商工連携」もあるが、事業計画を認定するのが農林水産省か経済産業省かの違いで、中身はほとんど変わらない。

 6次産業化・地産地消法に基づいて事業計画を認定されたのは、法施行から3年半で1976件に上った(10月末現在)。本県は75件で、北海道、兵庫県、長野県に次いで全国4位。九州でもトップで健闘している。なぜ多いのか。本県は食の宝庫としていい素材を提供できるものの消費地からは遠い。野菜などをそのまま運ぶのでは、輸送コストがかかり劣化もする。ならば、加工して付加価値を高めたほうが輸送コストに見合い、消費者の目をひくだろうと考えている生産者らが多いということだろう。一方で、農商工等連携促進法に基づいた認定計画数は全国で636件。愛知や東京など消費地が上位にランクインしているが、本県は4件のみとなっている。

 6次化を進める上での課題は多い。融資を決める際に話を聞くが、アイデアとしては面白くても販売戦略が明確化していないケースが散見される。事業者には金融機関が納得いくような計画を練る必要があるが、何よりも必要なのは消費者やマーケットのニーズを捉えることだろう。「作って売れば買ってもらえる」という時代は終わった。今は買ってもらえるものをつくる時代で、消費者の目は厳しくなっている。まずは、マーケットを調査してターゲットを明確化する。その調査結果を生産や加工・流通にフィードバックして事業計画を立てるべきだ。何をどれくらい作り、どうやって安定供給していくか、またターゲットに向けてどうやって売っていくかなど考えておくべきことはたくさんあるが、販売戦略の立て方は苦戦する事業者が多い。

 また、生産者が生産を行いながら加工や流通、販売まで一貫してするのは本当に大変。上に示した約2700件の認定事業者がひしめき合っている状態で、自分の作った商品を売り込むのは至難の業だ。3年前に日本政策金融公庫が実施した農商工に取り組む取引先に対するアンケートによると、人材確保を課題に挙げる声が多かった。加工するための人材はもちろん、販売の人材も必要になる。だからこそ、加工業者や販売業者らパートナーを見つけるべきだ。餅は餅屋ではないが、やはりその道のプロが専念したほうがうまくいく。

 また、もとからやっていた生産部門と新しく始めた加工・流通部門に分けて損益を把握していない事業者も多いようだ。どこで利益が出て、どこが落ち込んでいるのかが分からないと、失敗したときに原因の特定や対策を打つことができない。成功しているときや始めたばかりの時には気付きにくい点だが、きちんと押さえておくべきポイントだ。

 これから始める人は、常にアンテナを高くして情報を集める必要がある。そのためには支援機関の手を借りるといいだろう。各自治体の相談窓口のほか、県産業振興機構の「みやざきフードビジネス相談ステーション」と、県農業振興公社の「みやざき6次産業化サポートセンター」がある。商品開発のアドバイスがもらえたり、連携相手を紹介してくれたりと手厚くサポートしてくれるので、利用しない手はない。

 6次化は生半可な考えではできないものだが、本気で取り組めばちゃんと収益は生む。本県のこれからを担うニュービジネスとして応援していきたい。

【関連記事】
アナライズ~プロの視点  日本政策金融公庫 外山隆さん(2014年09月26日)
県フードビジネス相談窓口、半年で342件に助言(2014年06月10日)
加工販売分野参入動き活発 県内農林漁業者(2011年08月19日)
農が拓く(2)収益拡大(2012年06月08日)

アクセスランキング

ピックアップ