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特別支配株主の株式等売渡請求権 久島満洋さん(山田FAS取締役アドバイザリー部長)

2014/11/07
山田FAS取締役アドバイザリー部長 久島満洋さん<br />
「特別支配株主の株式等売渡請求権」

事業承継有利に


山田FAS取締役アドバイザリー部長 久島満洋さん
 2014年6月施行の改正会社法成立で、新たなキャッシュアウト制度として、総株主の議決権の90パーセント以上を持つ特別支配株主が少数株主に対し、売渡請求ができるようになった。これは、未上場会社の事業承継を円滑に進めるための手段として注目されている。

 キャッシュアウトとは、少数株主に現金を渡す代わりに会社の株主でなくなってもらうこと。従来の会社法による手段では、(1)現金対価の組織再編(2)株式併合(3)全部取得条項付種類株式の方法があった。

 (1)と(2)の方法については、課税が生じることやキャッシュアウトさせられる少数株主に適正な対価を交付する制度がなかったことから、あまり使われていなかった。(3)は倒産状態にある会社が100パーセント減資するときに株主全員の同意を取り付ける必要がないように設けられた制度。総株主の同意と比べるとハードルは高くないが、株主総会の特別決議事項で、手間とコストが掛かるのが難点。そこで、株主総会を開く必要がないキャッシュアウト制度、そして、(4)特別支配株主の株式等売渡請求権が設けられた。

 (4)のポイントは三つ。売渡請求権は、特定の株主にのみ対象に行使できず、ほかの株主にも統一条件で行わなければならない。次に異議がある少数株主は裁判所に対して差し止め請求や無効の訴えが起こせるが、明らかな法令違反や手続き違反、著しく不当な価格でなければ提訴できない。最後に少数株主は価格について異議がある場合、裁判所に価格決定の申し立てができる。しかし、安い価格で強制的に取り上げることはできないので、価格が問題になったり申立が行われたりするケースは少ないだろう。

 変化の速い現代において、企業経営にはスピーディーな意思決定が求められる。県内では長い経営の間に親族や元従業員に株式が分散した未上場会社が数多い。優良企業ほどその傾向は強い。株式の分散は企業経営の障害になり、特に事業承継のネックになりやすい。

 少数株主の株式の買い取りを申し入れる会社を見てきたが、断られたらそれまで。足元を見られて高い価格で泣く泣く買い取るケースもあった。もし90パーセントまで株式を買い集めることができれば、(4)の活用は有力な選択肢になるだろう。それが無理な場合でも(2)の株式併合は今改正で少数株主保護が充実したので、これを活用する手段も広まるかもしれない。株式集約を困難に思っていた経営者は検討するといいのではないか。

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