みやビズ

2019年12月8日(日)
アナライズ

雇用創出 根岸裕孝さん(宮崎大教育文化学部准教授)

2014/10/31
宮崎大教育文化学部准教授 根岸裕孝さん<br />
「雇用創出」

官民協働で街に知識産業集積を


宮崎大教育文化学部准教授 根岸裕孝さん 
 雇用創出は地方にとって頭の痛い問題。都市周辺部だけでなく山間部においても、食文化や担い手不足から農林水産業は衰退。製造業は、経済活動のグローバル化により空洞化が進んでいる。安くて良質のものがどんどん輸入されることで、国内の製造業間でのコスト競争は激化。海外に販路を求めれば、コストに合わないものを輸出せざるを得ないケースも現れ、結果、存続すら危うくなる企業も。

 雇用の中心はサービス業にシフトしつつあるが、人口や需要の多い大都市部に集中しがち。魅力的な働き口がないと、若者の県外流出は加速する。生産人口の低下にもつながり、地方は疲弊の色が濃くなるばかりだ。

 雇用をめぐる行政の対応も変化しつつある。これまで、雇用政策の主体は県が多かったが、市町村レベルが重要な役割を担うようになってきている。地域資源をどう生かすか、中心市街地をどう再生して雇用をつくり出すかを考えるには、より現場に近い感覚が必要となるからだ。ハード整備が企業誘致や雇用創出につながった時代もあったが、そのような時代ではなくなってきていることに目を背けてはならない。

 商業活動の核としての機能を果たしてきた中心市街地の雇用創出に目を向けてみる。これまで、中心市街地の活性化策は行政が主体となって行っていた。中心市街地の衰退は、周辺部も含めた広圏域に影響を及ぼす。だが、行政だけでは限界もある。行政に頼るのではなく、民間からも知恵を出そうとする動きが現れ始めた。その一つが、中心市街地の商店主や有識者ら民間が主体となってつくる「宮崎市まちなかリノベーション研究会」だ。

 研究会では、中心市街地を雇用を生む場として再生しようと意見を交わした。まとまった案が、IT系企業などの知識産業を中心に民間投資を呼び込むというもの。実現するために、既存ビルの耐震化など企業が進出しやすい環境づくりや、ネットワークインフラの整備、子育て環境の整備による女性が働きやすい街づくり--などの具体案もまとめ、今後、宮崎市に提言する。最終的に目指すのは、2020年までに中心市街地で3000人の新規雇用創出。これまでの誘致実績を考慮すると2000人は十分可能で、努力次第で3000人も不可能ではない。

 これまでも、宮崎市の中心市街地にはIT企業などのコールセンター進出が相次ぎ、新たな雇用につながっている。地方都市の長所の一つに、大都市圏と比較して安い人件費があり、遠隔地にある地方都市のハンディキャップは情報産業にはさほど影響はない。すでにマスコミやウェブ関連企業などが集積している中心市街地に、さらなる知的産業を集積できれば、雇用の場としての魅力や地域外からの注目度も高まる。研究会が目指すところは、ここにある。

 これまでの中心市街地活性化策では、空き店舗活用が思うように進まなかった。それは、建物の所有者らに「活気が生まれる場になる」との期待感を抱かせることができなかったからだ。東京五輪が開催される2020年まで、全国で投資が活発化することが予想される中、高まる機運に乗らない手はない。知識産業のさらなる集積化へ、いまから行政は環境整備を進めるとともに内外へしっかりPRすべきだ。民間にはそれをサポートする。「雇用」は「期待」へとつながり、「活気」を生み出す。官民が手を携えて取り組めば、3000人は難しい数字ではないはずだ。

【関連記事】
「雇用拡大」に重点を 宮崎市リノベーション研が市街地の活性化策提言(2014年10月22日)
キーパーソン  宮崎大教育文化学部准教授 根岸裕孝さん(2012年12月20日)

アクセスランキング

ピックアップ