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2019年10月14日(月)
アナライズ

食品産業振興の戦略 冨山幸子さん(県産業集積推進室長)

2014/10/17
県産業集積推進室長 冨山幸子さん 「衛生管理の意識重要」

衛生管理の意識重要


 人口減少社会の到来で、「食品産業」の市場規模が頭打ちになるとの懸念がある。だが、食品産業は、アベノミクス第三の矢として策定された「日本再興戦略」でも成長産業化が掲げられたように、戦略次第でまだまだ伸ばせる分野だ。食糧供給基地である本県は特に、成長の可能性を秘めていると言える。

県産業集積推進室長 冨山幸子さん

とみやま・さちこ 1980(昭和55)年、宮崎県庁入庁。環境森林課課長補佐、工業技術センター副所長などを歴任し、2013年4月から現職。

 統計データを見てみたい。生鮮品を除く食料品(飲料・たばこなど含む)の出荷額は、2012年までの10年間に全国で2・6%伸びた一方、本県の伸びは12・6%に上っている。全国シェアもわずかずつだが増加しており、食品産業分野で着実に力を付けている状況にあることが分かる。

 だが、その一方で、農業産出額は全国でも10位以内に入るものの、飲料等を含む食料品製造業出荷額は24位にとどまるのも事実である。本県では、農産物に付加価値をつける加工・製造分野がまだまだ弱い。裏返せば、この分野の「伸びしろ」はかなり大きいということになる。

 県は2013年度以降、一丁目一番地の政策として食品産業振興を掲げている。食品産業を伸ばしていくための基本的な考え方は「マーケットイン」。社会が抱える課題やニーズに対応した商品づくりを重視していく。

 例えば、高齢化にいかに対応するか。アンチエイジングや、高齢者にやさしい取り扱いの簡単なパッケージング、高齢者に不可欠な栄養素を豊富に含んだ食品など、さまざまな視点がある。また、女性の社会進出に目を移せば、家事の負担を軽減できる食材も求められているのではないだろうか。おいしさは大前提として、社会の中で求められている商品をいかに開発できるかが商機につながっていく。

 ただ、商品開発に成功しても流通に乗せられなければ意味がない。現在、コンビニは流通業界で最も伸びているが、そのコンビニ側が最も重視しているのが、品質や製造現場の衛生管理である。さらに、海外進出を考えるなら、なおさら衛生管理には力を入れなければならない。

 そこで、県内企業には、県が10月27日に開設する「フードオープンラボ」を活用してほしい。オープンラボは、食品営業許可が取得でき、食品の試験製造・販売ができる施設で、さらに、食品衛生管理の国際規格「HACCP(ハサップ)」のルールに沿った施設構造になっている。実践を通して衛生管理について学ぶことができる仕組みだ。

 衛生管理の意識はまだまだ浸透していないのが実情ではないだろうか。設備面は充実したが、運用面で社員の意識が追いついていないケースも見受けられる。

 県では衛生管理の研修事業なども実施しており、モデル事業で半年間研修を受けた企業の中には、衛生管理が向上し、取引先の開拓につながったケースもある。ビジネスチャンスを広げるためには、大手コンビニにも認められるような衛生管理の下で、マーケットが求める商品を開発していく必要がある。

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