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アベノミクス、そしてこれから 長池國裕さん(みやぎん経済研究所常務理事)

2014/10/10
みやぎん経済研究所常務理事 長池國裕さん 「消費税の再増税厳しく」

消費税の再増税厳しく


 最初に、「安倍政権の構造とリスク」について触れるが、安倍政権への過剰とも言える期待は民主党政権に対する“国民の失望”が換わったものであると考えている。

みやぎん経済研究所常務理事 長池國裕さん

ながいけ・くにひろ 早稲田大卒。1978(昭和53)年、宮崎銀行入行。証券国際部、経営企画部主任調査役、東京支店長などを経て2011年7月1日から現職。「他律的に就職し、自立的に仕事に取り組む」。宮崎市出身。

 安倍首相は政権発足前から経済学でいうリフレーション派的な発想(意図的にインフレを起こす)でアベノミクスという経済政策パッケージを打ち出した。アベノミクスは第1の矢(大胆な金融政策)、第2の矢(財政出動)、第3の矢(成長戦略)という3本の矢から成り立っている。第1、2の矢まではまずまず評価できるものの、第3の矢である成長戦略については実効性・効果ともに未知数であり、あまり高い評価を与えられないと、政策ブレーンの1人である米エール大の浜田宏一名誉教授も分析している。

 最近では地方創生の視点から「ローカルアベノミクス戦略」を強化し、アベノミクスの地方への波及を本格化していこうとしている。これは長年デフレにもがき苦しんだ日本経済に対して、アベノミクスの「トリクルダウン効果」により、全国津々浦々に好循環を浸透させていこうという戦略だ。

 確かに、異次元の金融緩和により「あふれるマネー」は実現できた。しかし、設備投資を含めた「前向きな需要」に資金が大量に向かったことは残念ながら確認できていない。自動車産業に代表される輸出型産業の収益は、円安効果による円ベース決算の好転にはつながったが、輸出の「量」の増加に明確な実績を残すことができないままだ。賃金も大企業を中心に増えたものの、消費税増税や物価高による家計負担の増加を打ち消すほどの賃上げにはなっていない。特に、本県のように産業構造が外需(輸出)依存型ではない地方においては好循環の波及・浸透はほど遠く、景気回復を実感できるまでには至っていない。

 政策効果に対する若干懐疑的な見方が出てきている中、8月中旬に「4~6月期の国内総生産(GDP)速報値:年率換算マイナス6.8パーセント」という大幅悪化の数値が発表された。これにより消費税増税に伴う駆け込み需要の「反動減」からの回復のペースが政府や市場の想定を相当下回っていることが示された。この要因は個人消費の不振が一番だが、輸出や設備投資の低調も影響している。消費の回復が遅れている背景には、増税に加えて原材料費の高騰によるガソリンや食品、日用品の値上げで家計が圧迫されていることがあると思われる。

 アベノミクスのアドバイザーの1人である本田悦朗内閣官房参与の「景気ウオッチ」も、先月あたりから微妙に変化している。それほど、先のGDPショックは大きかったということだ。これから7~9月期の経済指標をみながら再増税の議論を進めていくことになるが、財政再建への対応を含め非常に厳しい政策運用になると考えられる。

 金融緩和の「出口戦略」にも若干触れたい。今、最も恐れているのは市場の混乱(長期金利の急騰)。日銀の黒田東彦総裁は就任直後から現在に至るまで、金融緩和の出口議論は「時期尚早である」と繰り返している。しかしながら出口戦略に時期尚早という選択肢はない。より慎重なかじ取りが求められる。

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