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2019年10月17日(木)
アナライズ

食の認証制度 外山隆さん(日本政策金融公庫)

2014/09/26
日本政策金融公庫 外山隆さん 「世界基準で“安心・安全な食”提供へ」

世界基準で“安心・安全な食”提供へ


 近年、食の安全を脅かす事件が立て続けに起きている。この夏もまた発生した。中国の食肉加工会社が使用期限切れ鶏肉などを使用していた事件で、普通なら考えられないことだ。国内でも昨年、ホテルや百貨店で食材の虚偽表示が相次いだが、言うまでもなく偽装は消費者を欺くもので問題外。一度発覚すれば市場から退場せざるを得ないほどの責任があることを、供給サイドは肝に銘じる必要がある。

日本政策金融公庫 外山隆さん

とやま・たかし 宮崎市佐土原町出身。早稲田大卒。2010年8月から現職。

 日本の「食」のグローバル化は今、思う以上に進んでいる。食品そのものだけでなく、原材料も輸入が増え、一方で、販路を海外に求める国内の生産・加工業者も増えてきた。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉の進展次第では、今後ますますグローバル化は進んでいくだろう。

 国境を越えて安心・安全な食をやりとりする中で、食品加工業者などが取得する衛生基準として世界中で義務化が進められているものの一つに「HACCP(ハサップ)」がある。原料の入荷から製造、出荷に至るまでの全工程で危害を予測、その危害を防止するために重点的に管理するポイントを特定。そのポイントを監視・記録し、異常が発生すればすぐ対策に乗り出すもので、不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステムだ。

 国内では1998年にHACCP支援法が制定されたものの、あまり普及していないのが現状だ。農林水産省の調べによると、食品販売額が50億円以上の大規模の食品製造業では導入率は80パーセントを超えているが、50億円未満の中小規模では27パーセント。国内全体の導入割合(24パーセント)を押し下げている。本県の場合、中小規模の事業者が圧倒的に多いため、さらに低い数字が予想される。

 なぜ導入が進まないのか。工程のモニタリング設備などHACCP導入にかかる費用を捻出する体力がないことや、設備投資分を商品に上乗せすると購入してもらえなくなるという不安がハードルとなっているようだ。導入した場合、品質・安全の向上や企業の信頼を高められるというメリットが見えていないのだろう。

 第1次産業が盛んな本県は、食料の供給基地。県はアジアを商圏として見据えた輸出に力を入れているが、世界に打って出る場合には、グローバルスタンダードに適合するものを生産・製造していく姿勢が必要になってくる。また、コンビニエンスストアや大手スーパーなどでは、HACCPを含む国際認証制度を取得していることを取引の条件としているところも増えている。HACCPは海外だけでなく、国内で販売する上でも最低基準となった。これまでは認証マークがあることが付加価値を高めていたが、今ではそれが当たり前になりつつある。

 消費者は畑や工場などに直接出向いて、生産や製造の現場を見ることができない。だからこそ、適正な表示も含め、安全管理が徹底した環境で作られたものを提供するのは供給側の責務だ。生産ラインの見直しや従業員教育などにコストはかかるが、良質の本県産農林水産物を国内外に売っていくために、導入を進めてほしい。

 一方で、消費者側も商品を選ぶ目をしっかり持ってほしい。目の前に並ぶ商品が国際基準の認証を受けている意味を知り、買い物する際に「安心して口に運べるものは、生産にコストがかかっている」ということを理解することも大事だろう。HACCPなどの認証制度はパッケージにマークが示してあるので、安心を測る物差しにしてほしい。

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