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2019年10月17日(木)
アナライズ

人手不足問題 水永正憲さん(元旭化成延岡支社長)

2014/09/05
元旭化成延岡支社長 水永正憲さん

構造的問題と認識を


 人手不足の問題は、ことし4月ごろから新聞や経済誌などで集中的に取り上げられ始めた。その皮切りとなったのが、1万6000人のパート・アルバイトを正社員化するというユニクロの取り組み。ほかにも東京三菱UFJ銀行、スターバックス、全日空で同様の取り組みが進んでいる。

元旭化成延岡支社長 水永正憲さん
 ユニクロの柳井正会長兼社長はグローバル社員と店長の育成に力を入れてきたが、それは間違いだったと語っている。グローバル社員にはなれない人もおり、さらに、店舗が飽和状態にある国内で売り上げを伸ばすには、店舗のスタッフ一人一人を主役にした経営の必要性に気付いたと話している。労働政策の大転換であり、この背景にあるのが圧倒的な人手不足だ。

 生産年齢人口の減少は20年前から始まり、今後さらに加速する。リーマンショックや景気後退でリストラをやらざるを得ない経済環境の中で表面化しなかったが、景気回復を背景に問題が顕在化。景気回復局面での一時的な現象と捉えるのは大きな間違いで、構造的な問題と認識しなければならない。

 人手不足で何が起こるかというと、人を大切にする社会となる。企業でいえば、給与などの労働条件の改善と、働きがいのある職場環境づくりが大きな課題になる。言い換えれば職を求める人の立場が強くなる。ビジネス誌では「採用氷河期」という驚くべき表現を使って警鐘を鳴らしている。

 大企業は圧倒的な人手不足に対応しようと、既にリクルート体制を強化している。また公務員人気も根強い。大企業と公務員が有能な人材を囲い込むことになり、地域の中小企業は有能な人材を採用できにくくなる。地域の中小企業も労働条件の改善と、働きがいのある職場づくりへ早急に着手する必要があるだろう。

 若者にとって重要なのは働きがいだ。社会に貢献できるとか、自分を認めてもらえる、役割があるなど、そう感じられることが大切になる。給料は世間の標準の範囲内であれば問題ないという説もあるが、低過ぎてはいけない。給料など労働条件も満足でき、働きがいも感じられるようにしなければならない。「辞めても、すぐに替えがいる」と使い捨てのような考え方の企業は、必ず淘汰(とうた)されていくだろう。

 地方の有能な若者が都市部や大企業に流出しているが、子どもたちに宮崎の魅力を伝える取り組みも必要ではないか。県外の大学で学び、東京や海外での仕事を経験した有能な若者が、故郷・宮崎に戻って何かやりたい-と思わせるようにすること。学生も親も先生も地域の企業や産業のことを、まだまだ知らない。企業や経済界、行政が連携し、宮崎の産業、企業の魅力を子どもたちに伝える努力を続けることが大切になる。

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